アルバイトに支払う給料についても、源泉徴収する必要はあるのでしょうか?
(↑『源泉所得税額表』。この中に「給与所得の源泉所得税額表」も収録されています。)
アルバイトでも源泉徴収する必要あり
まずは、簡単に「源泉徴収」について解説から。
源泉徴収とは、会社が従業員に対して支払う給料の金額から「源泉所得税」という税金を徴収する制度です。
会社は、その徴収した「源泉所得税」を、今度は税務署に支払うことになります。
よって、会社が従業員に給料を支払うときは、源泉所得税を差し引いた金額を支払うことになります。
これは、正社員でもパート・アルバイトでも同じことです。
アルバイトでも源泉徴収する必要はあります。
また、短期のアルバイトについても、同様に源泉徴収をする必要があります。
源泉徴収する金額は、給料の金額によって変わっていきます。
その金額は、「給与所得の源泉徴収税額表」で確認することができます。
「給与所得の源泉徴収税額表」とは?
「給与所得の源泉徴収税額表」は、国税庁のホームページにPDFがあります。
また、税務署に行けば、紙の冊子を手に入れることもできます。
(『平成30年分 源泉所得税額表』という名前の冊子です)
源泉所得税の金額は、年によって異なる場合がありますので、最新の年分のものを使いましょう。
源泉徴収票を渡すのを忘れずに
辞めた社員やアルバイトには源泉徴収票を渡しましょう。
また、辞めた方々より源泉徴収票の発行を依頼された場合、会社側はその発行を拒否することはできません。
源泉徴収する金額は、「給与所得の源泉徴収税額表」の「月額表」をみます。
この「月額表」には、「甲」と「乙」という区分があります。
- 「甲(こう)」は、従業員から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出がある場合
- 「乙(おつ)」は、従業員から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出がない場合
に、それぞれの欄にある金額を源泉徴収します。
なお、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」とは、メインの勤め先にのみ提出する書類です。
したがって、短期のアルバイトの場合は、他にメインのアルバイトをしていたりするケースがあることから、「乙」の税額になることがほとんどだと思われます。
1日限りのアルバイトの場合の源泉徴収
日雇いと呼ばれるような1日限りのアルバイトの場合は、「給与所得の源泉徴収税額表」の「日額表」にある「丙(へい)」という区分の金額が源泉徴収する金額になります。
「丙」の区分は、日給が9,300円までは、源泉徴収する必要がありません。
(9,300円未満までは、源泉徴収税額が0、9,300円以上になると源泉徴収税額が段階的に増えていきます)
ただし、2ヶ月を超えてその人を日々雇い入れるような場合は、「丙」の区分は使えません。
その場合は、「月額表」同様、「甲」か「乙」の区分で源泉徴収する金額を判定することになります。
「丙」の区分を使えるのは、
- 雇用契約においてあらかじめ期間が決められている場合は、その期間が2ヶ月以内であること
- 雇用契約はせず、日々雇い入れている場合は、継続して2ヶ月を超えて支払いをしないこと
のいずれかの条件にあてはまる場合となります。
当初の予定が変わり、2ヶ月を超えてしまった場合は、その時点から「甲」または「乙」の区分で、源泉徴収する金額を判定することになります。
短期アルバイトの例外
日払いのアルバイトではなく、月払いのアルバイトでも、「丙」の区分で計算できるケースがあります。
その条件は、
- 給与が日給または時間給で計算されていること
- 雇用契約の期間が2ヶ月以内であること
となります。
この2つを満たしていれば、短期アルバイトに対する月払いの給料でも、「給与所得の源泉徴収税額表」の「日額表」にある「丙」の区分で源泉徴収する金額を計算することができます。
源泉徴収する金額については、1日分の給料ごとに「日額表」と照らし合わせる必要があります。
<注意>
例えば、本来「乙」とすべきところを、「丙」で計算しまった場合、そのペナルティを支払うのはアルバイト側ではなく、会社の方になります。
「丙」よりも「乙」のほうが金額は大きいので、その差額と罰金を会社側が負担することになります。
税務調査でも注意深く調べられるポイントとなりますので、注意が必要です。
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